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元院生が研究過程で収集した資料の貯金箱。
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相続や贈与によって取得した資産の名義書換料は、その資産を譲渡した場合の取得費として譲渡所得から控除できるか。

判例速報(Tabisland)

平成11年12月13日 国税不服審判所裁決(『裁決事例集第58集』大蔵財務協会

第一審 平成12(行ウ)57 平成12年12月21日 東京地裁(藤山雅行裁判長)

(判旨)
① 「取得費」には、登録免許税・仲介手数料等の付随費用も含まれる。
② しかし、所法60条により、贈与の前後を通じて"贈与者"が引き続き所有していたものとみなされる以上、譲渡所得の算出に当たり贈与の事実はなかったものと考えるべきである。
③ よって、受像者が所有権移転のために支出した費用は一切無視するほかない。
④ 本件手数料は、"贈与者"の取得費用でないから、取得費ではない。

控訴審 平成13(行コ)12 平成13年6月27日 東京高裁

(判旨)
① 所法60条1項は、「その者が引き続きこれを所有していたものとみなす」という強い表現を用いている。
② 贈与の前後を通じて"受像者"が引き続き所有していたとみなされるのであるから、贈与の事実はなかったものと扱うほかない。
③ 贈与の事実も本件手数料の支払の事実もなかったものとみなすから、取得費には該当しない。

右山昌一郎「上告受理申立理由書」 TAINS Z888-0933 P.3/10
右山昌一郎「最高裁口頭弁論要旨」『税理』(ぎょうせい)2005/4、P.37

上告審 平成13(行ヒ)276 平成17年2月1日 最高裁第三小法廷

(判旨)
① 法60条1項の趣旨は増加益に対する課税の繰延べであるから、受贈者の所有期間に係る資産価値の増加益に贈与者の所有期間に係る資産の増加益を合わせたものを超えて所得として把握することを予定していないというべきである。
② 本件手数料は、受贈者の所有期間に係る増加益の計算をする際には取得費にあたるものである。
③ したがって、本件譲渡所得金額は、本件手数料が取得費に該当するものとして計算すべきである。

右山昌一郎「受贈財産の譲渡における取得費の範囲」『税理』(ぎょうせい)2005/4、P.26-43

渡辺充「右山事件(検証!藤山判決9)」速報税理(ぎょうせい)2005/4/1、P.22-25
(判旨に疑問)

橋本守次「贈与により取得したゴルフ会員権の名義書換手数料は同会員権の譲渡所得から控除される取得費に含まれるか」税務事例 Vol.37 No.6 2005/6、P.1
(判決の趣旨には賛成、しかし判旨に反対)

天野肇「贈与により取得したゴルフ会員権の名義書換料の取得費性」第10回租税判例研究会

「右山訴訟」

生形順子「『ゴルフ会員権の名義書換料取得費算入に係る裁判』の講演を受講して」

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プロフィール
HN:
Coolhage
性別:
非公開
職業:
元大学院生
自己紹介:
資産税が中心になると思います。

記事内容は随時加筆・訂正しますので、投稿日はあてになりません。

まだまだ勉強中の身で、自分の主張も180度変えたりします。ご批判をいただければ幸いです。
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