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元院生が研究過程で収集した資料の貯金箱。
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 いわゆる「自販機設置による消費税の還付スキーム」で、還付請求を棄却する裁決が出ました。
http://www.kfs.go.jp/service/MP/05/0301000000.html

自販機スキームは、プロの間ではすでに知れ渡っている手法です。

この事例では、スキームそのものが極端すぎます。
建物(アパート)購入代金に対する消費税(約116万円)を還付しようとして計上した自販機の販売手数料が114円!消費税5円ですよ!

これは課税庁もカチンとくるでしょう。

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この記事は、こちらに移転済。

含み資産(テレビ朝日の株式)を持つ内国法人の外国子会社が著しい第三者有利発行増資を行い、オランダ法人の子会社になった。結果として日本はその含み益に課税することはできなくなった。

そこで課税庁は、外国子会社が行った第三者割当増資(資本取引)について、内国親会社がオランダ法人に子会社株式を寄付したものとして課税を行った。

① 資本取引に対して法人税法第22条を適用できるか
② この場合の株式の時価について、法人税相当額を控除できるか

「アメリカでは、租税弁護士や会計士の手によって、複数の一般措置の組み合わせ、一般措置と特別措置の組み合わせ、複数の特別措置の組み合わせ等の方法で、税負担を軽減・回避する仕組み(スキーム)がいろいろと考案され、利用されてきた。これらのスキームは、タックス・シェルター(tax shelter)と呼ばれている」
金子宏『租税法[第11版]』弘文堂(2006)、P.130

 

租税裁定行為(tax arbitrage)

状況次第で節税に当たる場合と租税回避に当たる場合がありうる。

(勉強不足)

コンパック事件のようなスキームを指していると思われる。

租税回避(tax avoidance)

① 私法上の選択可能性を利用し、
② 私的経済取引プロパーの見地からは合理的理由がないのに、
③ 通常用いられない法形式を選択することによって、
④ 結果的には意図した経済的目的ないし経済的成果を実現しながら、
⑤ 通常用いられる法形式に対応する課税要件の充足を免れ、もって税負担を減少させあるいは排除すること。
(金子宏『租税法[第11版]』弘文堂(2006)、P.127)

川端康之「最近の最高裁租税判例について」『月刊国際税務[Vol.26 No.9]』(2006.9)P.43-51

1.「オウブンシャ・ホールディング事件について」

 …株式価値の希釈化を22条2項に当たるものと構成するには、以下の吟味すべき事項が不足しているのではないか。
① 希釈化された株式は親会社が引き続き保有し続け、未実現であったこと
② 22条2項と資本等取引との関係
③ 第三者の行為による希釈化の範囲(当事者が"通じて行う"ことの基準)
④ 22条2項と新旧資産の取得価額との関係
⑤ 外国子会社の外国法上の行為の日本法上の性質決定等
 …外国法人の行為について設立地法に言及することなく、増資決議・新株発行・希釈化など、本件の重要な事実間関係について法的評価を行うことには無理があると思われる。

2.映画フィルム・リース組合事件

 …最高裁は、「原審大阪高裁が、本件取引が租税回避を目的とし、実質的に映画に関する所有権その他の権利を真実取得したものではない(契約書上、そのような形式や文言が用いられたに過ぎない)と、映画フィルムの取得自体を私法上疑問視しているのに比較すると、むしろ、私法上は組合の成立も映画フィルムの取得も肯定しつつも(肯定するからこそ、組合には実質的に使用収益権が残されていない点を指摘し得る)、そのような取引から生ずる危険を負担せず、また、当事者が映画の配給事業には知識や経験もなく積極的に関与していないことの二点を重視した理論構成であろう。」
「その意味では、最高裁判所が、危険を負担しない取引から生ずる費用の経費算入を制限し(at risk rule)、また、受動的活動によって生じた費用の経費算入を制限する(passive activity loss limitation)、という解釈を示した事例として位置づけられるべきではないか」
しかし「これら二件の理論の根拠付け、両者の相互関係については全く言及しておらず」「両者の理由付けを中間命題として用い、経費算入制限の根拠を『事業の用に供する』という法人税法31条1項の法律要件の充足に求めている」。
類似の航空機リースの事案(名古屋地裁判決)で納税者が勝訴した。「事実認定について課税上の配慮を主な要素として納税者の主張する私法法律関係ではない法律関係を認定することには、最高裁判所は商況区であると解せよう。」
cf. H17年度改正 措置法27条の2(at risk rule)、同41条の4の2(PAL)

3.外国税額控除余裕枠利用事件

「注目すべきは、政策的減免措置であるから限定的に解釈すべきであるという論旨ではなく、制度趣旨を措定した上でそれから外れるような適用はする必要がないと見ることができるような『趣旨目的から著しく逸脱する態様で利用して納税を免れ』ることを濫用であるとしていること(…)、税負担の公平を害するものであること(…)により、外国勢を外国税額控除の対象とすることはできないとしていることである。」
「一見、事業目的の存否という一義的な基準であるかのように見えても、…評価が分かれることからすれば、限定解釈の基準として事業目的の基準を適用することは事実関係の微妙な評価が伴う」

4.これらの事案を通観して

① 事業目的の存否を根拠として納税者の立場を疑問視することには、最高裁は消極的であるようだ。

② 外国税額控除余裕枠利用事件で適用された「法の濫用」が、一般化され得る法律構成であるなら、オウブンシャ・ホールディング事件においても「特定現物出資規定の濫用」という法律構成をとるべきであったのではないか。特定現物出資規定こそ、明らかに課税減免規定(正確には繰延規定)だからである。

① 仮装・隠蔽行為

② 同族会社等の行為計算の否認(組織再編・連結法人を含む)

③ 私法上の法律構成による否認

④ 課税減免規定の限定解釈による否認

⑤ 立法趣旨による租税法規の不適用(?)


「通謀」「虚偽表示」「契約当事者の真意」「真実の法律関係」を課税庁が立証しなければならない。



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非公開
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元大学院生
自己紹介:
資産税が中心になると思います。

記事内容は随時加筆・訂正しますので、投稿日はあてになりません。

まだまだ勉強中の身で、自分の主張も180度変えたりします。ご批判をいただければ幸いです。
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