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元院生が研究過程で収集した資料の貯金箱。
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今村隆「最近の租税裁判における司法判断の傾向―外国税額控除事件最高裁判決を手掛りとして―」『税理』(2006.5)P.2-7

平成17年12月19日の最高裁判決で示された、「外国税額控除制度を濫用するものであり、…許されない」とする判断は、"税法規定の文言には形式的には該当するが、立法趣旨からして適用すべきでない"ということで、これまで最高裁が示していなかった初めての判断の方法と考えられる。

(筆者である今村教授は、この事件について、法務省訟務局租税訟務課長として一審段階で関与していた)

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本庄資「外国税額控除余裕枠の利用による租税回避事案に鉄槌を下した最高裁判決」『税経通信』(2006)より)

第一審は3件とも同じ裁判官が判断している。

(1)
木村弘之亮「住銀のトリーティショッピング事件」『税務弘報』50巻1号(2002.1)P.153-168、
同「租税判例研究(第358回)三井住友銀行条約法令漁り事件」『ジュリスト』No.1219(2002.3.15)

① 「仮装行為」に関する命題について法的根拠を明らかにせず、本件に当てはめることはしていない。
② 租税回避行為の否認根拠は、憲法12条の権利・自由の濫用禁止、国内税法及び租税条約の規定である。「経済目的からみる真実の法律関係」を実質優先の原則(所法12条、法法11条)から導き出しているようであるが、この命題を「実質所得者課税」の問題領域に適用するのか、「国際的租税回避」の問題領域に適用するのか、明らかでないため、租税回避行為の否認には適用できない。
③ 源泉税減免請求権の受益者及び外国税額控除権の外国法人への実質的譲渡の件を究明せず、「当事者がその真に意図した私法上の事実関係」を認識することができなかった。この問題は、国際課税において法律問題として議論されるべきであるが、それをしていない。

(まだ書きかけ)

外国税額控除余裕枠利用事件に関する資料

(訴訟資料)

りそな銀行事件 平成9(行ウ)77-79 平成13年12月14日 大阪地裁 (認容)

同 控訴審 平成14(行コ)10 平成15年5月14日 大阪高裁 (控訴棄却)

同 上告審 平成15(行ヒ)215 平成17年12月19日 最高裁第二小法廷 民集第59巻10号2964頁

三井住友銀行事件 平成9(行ウ)47・48 平成13年5月18日 大阪地裁 (認容)

同 控訴審 平成13(行コ)47 平成14年6月14日 大阪高裁 (請求棄却)

同 上告審 平成14(行ツ)219、平成14(行ヒ)257 平成17年12月19日 最高裁決定 上告棄却

UFJ銀行事件 平成9(行ウ)64-67 平成14年9月20日 大阪地裁 (認容)

同 控訴審 平成14(行コ)82 平成16年7月29日 大阪高裁 (控訴棄却)

同 上告審 平成16(行ヒ)326 平成18年2月23日 最高裁第一小法廷 (破棄自判、請求棄却)

 

(判決肯定意見)

「この判断の根底には、(中略)憲法12条、民法1条3項にいう「自由・権利の濫用の禁止」に抵触する「法の濫用」を禁止する思想があると受け止めるべきではなかろうか」
本庄資「外国税額控除余裕枠の利用による租税回避事案に鉄槌を下した最高裁判決」『税経通信 2006.6』税務経理協会(2006)

「最高裁は、本最高裁判決で、国の主張を正面から受け止め、新しい法理論を創造しようとしている」
今村隆「最近の租税裁判における司法判断の傾向 ―外国税額控除事件際高裁判決を手掛りとして―」『税理 2006年5月号』ぎょうせい(2006)

「一定の範囲で国側の主張が認められた」
矢内一好「外国税額控除事案の最高裁判決」『税務弘報』(2006.4)P.153~
(→国側の主張は認められたのだろうか?)

(判決否定意見)

「法律の施行規定との明確な違背を指摘した高裁判決を意図的に無視したとしか思えないこの最高裁判決は、判決の名に値しないものであると思います。」橋本守次「租税回避をめぐる最近の最高裁判決の検討 第2部 外国税額控除の適用の可否」『zeimuQA』税務研究会(2006年7月~9月)

(たぶんこんな感じだと思うんですが、違っていたらご指摘よろしくお願いします。)

例:旧大和(りそな)事件

クック諸島にあるA社は、その関係会社でやはりクック諸島にあるB社に、年利11%でお金を貸そうとしました。(話を簡単にするために、利率や期間は変えています。)

B社への貸付金に対して、A社は利息を受け取る訳ですが、クック諸島では、その受取利息に15%の源泉税がかかってしまいます。A社は、関係会社同士の金銭のやりとりで15%の源泉税がかかってしまうのが嫌でたまりません。

そこで両者は、日本の銀行とシンガポールを利用するすごいアイデアを思いつきました。キーとなるのは、(1) シンガポールの預金利息には源泉税がかからないこと、(2)日本の外国税額控除制度にセキュリティホールがあること、の2点です。

事件を理解するにつれ、この2点を組み合わせることを最初に思いついた人が、いかにすごいかってことを感じざるを得ません。

A社は、さっそく旧大和銀行シンガポール支店(以下、X行)に行きました。

A「ねぇねぇ、A社がおたくの銀行に預金するからさぁ、その預金を担保にしてA社にお金貸してくれない?」

X行「でも、源泉税を15%も差し引かれるなら、当行の貸付利率をそれだけ上乗せしないと、当行が損するじゃありませんか。」

A「いやいや、日本には外国税額控除制度があって、負担した税金はちゃんと戻ってくるんですよ。」

預金利率を10%、貸付利率を11%とすると、貸付利息に15%もの源泉税がとられるならば、税引き後の利率は11%×(1-15%)=9.35%となり、0.65%だけ損が出ます。でもその源泉税が還付されるなら、1%のサヤが抜けます。X行は、預金を担保にするので、要は右から左へお金を移動させるだけで1%もらえるわけです。おいしい話です。

そこで、クック諸島のA社はX行のシンガポール支店に5000万ドルを預金し、同時にシンガポール支店は、B社に5000万ドルを貸し付けました。

1年後(期間は変えています)、クック諸島のA社は、5000万ドルの預金利息として、10%の500万ドルを受け取りました。シンガポールには源泉税がとられないので全額受け取ることができます。B社に直接貸し付けていれば 5000万ドル×11%×(1-15%)=4,675,000ドル しか受け取れなかった訳ですから、差引325,000ドルのお得です。一方、クック諸島のB社は、A社に払うべき11%の利息を、X行に支払っただけですから、損得はありません。

かわって、X行では、預金利息500万ドルをA社に支払う一方、B社からの利息4,675,000ドルを受け取りました。このままでは325,000ドルの損失です。そこで、税務申告書において外国税額控除制度を適用して、クック諸島政府に支払った源泉税 5000万ドル×11%×15%=825,000ドル 分だけ、法人税を少なく支払いました。結果として、825,000-325,000=50万ドル、つまり貸金5000万ドルの1%の儲けを出したことになります。

さて、ここで問題です。

A社とB社が直接取引をした場合と比較して、A社は325,000ドル得しました。B社は損得なしです。X行は50万ドル儲けました。(現実には、利率を調整して、三社がそれぞれ儲かるようになっています。)

このようにみんなが「よかったね」と言いそうな取引、それではいったいどこが問題なのでしょうか?

(概要)(例:コンパック事件)

1992年、コンパック社は、投資会社・21st社の租税裁定取引に応じ、大量のオランダ・ロイヤルダッチ社のADR株を配当落ち前(cum dividend)に$887,557,129で購入し、配当落ち直後(ex dividend)に$868,412,129で転売した(配当落ち後の価格であるため、取引費用も含めると、売却損$20,652,816が生じた)。14:58に購入してから16:00に売却するまで、その時間はわずか1時間2分であった。

コンパック社は、配当落ちのその瞬間、オランダ・ロイヤルダッチ社ADR株1000万株の株主であったため、$22,545,800の配当を受けることとなった。オランダ政府の源泉税15%($3,381,870)控除後の配当($19,163,930)を受け取った。

コンパック社は、取引費用も含め$20,652,816の譲渡損失と$22,545,800の配当所得を計上し、また、$3,382,050の外国税額控除を申告した。

源泉税を控除されているため、取引費用を加えると損失となる。が、コンパック社は、米国政府から外国税額控除を受けることでトータルでは利益を出すことができた。

(問題点)

この一連のコンパック社の取引によって、オランダ源泉税を米国政府が負担した結果となっている。このような場合、コンパック社は外国税額控除が認められるだろうか。これは経済的実質を伴った取引と言えるか。



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元大学院生
自己紹介:
資産税が中心になると思います。

記事内容は随時加筆・訂正しますので、投稿日はあてになりません。

まだまだ勉強中の身で、自分の主張も180度変えたりします。ご批判をいただければ幸いです。
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