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元院生が研究過程で収集した資料の貯金箱。
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入湯税は、入湯客に課せられる税であり、温泉旅館業者は、入湯客から預かった入湯税を市町村に納める。
温泉旅館業者にとって入湯税は売上ではなく、単なる預り金である。

消費税法基本通達10-1-11

法第28条第1項(課税標準)に規定する課税資産の譲渡等の対価の額には、酒税、たばこ税、揮発油税、石油石炭税、石油ガス税等が含まれるが、軽油引取税、ゴルフ場利用税及び入湯税は、利用者等が納税義務者となっているのであるから対価の額に含まれないことに留意する。ただし、その税額に相当する金額について明確に区分されていない場合は、対価の額に含むものとする。

温泉旅館業者Aは、入湯客から入湯税を徴収する際において、入湯税の額を明示しないまま(のみならず、入湯税が含まれていること自体も明らかにしないまま)入湯税相当額を入湯料に含めて入湯客から徴収し、その経理処理においては、入湯税相当額を含む入湯料をそのまま売上勘定に計上した後、入湯税納付時に入湯税相当額を売上勘定から減算して、その減算後の額を基礎として消費税等の課税標準を算出した。

そこで課税庁は、この経理方法が基通10-1-11但し書の「その税額に相当する金額について 明確に区分されていない場合」に該当するとして、消費税の更正処分を行った。



 平成17(行ウ)529 平成18年10月27日 東京地方裁判所 (納税者勝訴)

判決文より


「入湯税は、その性質上、消費税の課税標準である『課税資産の譲渡等の対価の額』に含まれるべきものではないのであるから、そのように入湯税が本来的に消費税の課税標準となるものではないことに照らして消費税法基本通達10-1-11のただし書を合理的に解釈するならば、請求書や領収書等に入湯税の相当額が記載されているか、事業者において預り金や立替金等の科目で経理しているかといった点のみならず、問題となる税金(本件では入湯税)の性質や税額、周知方法、事業者における申告納税の実情等の諸般の事情を考慮し、少なくとも当事者の合理的意思解釈等により、課税資産の譲渡等に係る当事者間で授受することとした取引価額と入湯税とを区別していたものと認められるときには、消費税法基本通達10-1-11のただし書にいう場合には当たらないと解するのが相当である。」

「認定事実によれば、原告は、本件各更正処分に係る調査時点において、…利用者については、入湯税相当額も含めたコテージ利用料を基に消費税等の額を算出していたことが認められるが、そのことは、前期判断を左右するものではない。」

「これに対し、被告は、入湯客が入湯税を支払ったかどうか、その額がいくらであったかを知らなければ、消費税法30条所定の仕入税額控除との関係で、税の累積の排除が適切にされず、国の消費税収入そのものが不当に過小なものとなる旨主張するが、…仮に入湯客にとって温泉の利用が課税仕入れに該当する行為であった場合であったとしても、控除対象仕入税額の対象とならない入湯税を除いて仕入税額控除額の計算の基礎とすることを期待することができるのであって、上記主張をもって前記の結論は左右されない」
《私見》
この判決は、解釈論的には妥当なものと言えると思います。

もしかしたら消費税の「帳簿等の保存義務」に対する解釈にも影響を与える可能性があるのではないかと思うのですが、関係ないのでしょうか?

類似する判決として、軽油引取税と消費税の問題がありますので、後日検討したいと思います。
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