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元院生が研究過程で収集した資料の貯金箱。
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租税回避(tax avoidance)

① 私法上の選択可能性を利用し、
② 私的経済取引プロパーの見地からは合理的理由がないのに、
③ 通常用いられない法形式を選択することによって、
④ 結果的には意図した経済的目的ないし経済的成果を実現しながら、
⑤ 通常用いられる法形式に対応する課税要件の充足を免れ、もって税負担を減少させあるいは排除すること。
(金子宏『租税法[第11版]』弘文堂(2006)、P.127)



私法上の選択可能性の自由を利用して租税負担を軽減するために、法形式を濫用すること。
水野忠恒『租税法[第2版]』有斐閣(2005)P.26~27

租税回避は、経済上租税を回避軽減することの一切を意味すると観念されることもある。
北野弘久『現代税法の構造』(1973)P.87~)

(脱税との違い・節税との違い)

脱税(tax evasion)が課税要件の充足の「事実」を「秘匿」する行為であるのに対し、租税回避は、課税要件の充足そのものを回避する行為である。

節税(tax saving)が租税法規が予定しているところに従って税負担の減少を図る行為であるのに対し、租税回避は、租税法規が予定していない異常な法形式を用いて税負担の減少を図る行為である。
節税と租税回避の限界は、社会通念によって判断されるしかない(法的安定性に問題あり)。

 (ドイツにおける「租税回避行為の否認規定」)

ドイツ租税通則法42条
「租税法律は、法の形成可能性の乱用によって回避することはできない。乱用が存する場合には、租税請求権は、経済事象に適合した法的形成の場合に成立するのと同じく成立する。」

(日本における否認規定)

同族会社に係る行為・計算の否認規定(法法132条、所法157条1項、相法64条1項、地法72条の43等)
組織再編に係る行為・計算の否認規定(法法132条の2、所法157条3項、相法64条3項、地法72条の43の2等)
連結法人に係る行為・計算の否認規定(法法132条の3)
その他の個別規定(所法33条1項括弧内、所令79条・80条、相法65条・66条、措法40条の4以下・66条の6以下 等)

(資料)

北野弘久『現代税法の構造』(1973)
清永敬次『租税回避の研究』ミネルヴァ書房(1994) ←ドイツAO42条関連
清水敬次『租税回避行為』日税研論集14巻(1990)
清水敬次『税法[第5版]』
金子宏『租税法と私法』租税法研究6号P.17~
中里実『タックスシェルター』有斐閣(2002)
渡辺徹也『企業取引と租税回避―租税回避行為への司法上及び立法上の対応』中央経済者(2002)
武田昌輔ほか『租税回避行為』日本税務研究センター(1990)


松沢智「私法上の取引と租税回避行為」租税法研究6号P.55~
木村弘之亮「節税と租税回避の区別の基準」小川英明・松沢智・今村隆『租税争訟』青林書院(2005)P.318
岡村忠生「租税回避行為の規制について」税法学553号P.185
渡辺徹也「イギリスにおける最近の租税回避事件とRamsay原則の動向」税法学553号P.219
後藤正幸「租税回避行為と主張立証責任」税法学553号P.255
伊藤齊「株式譲渡方式による租税回避行為の解明に関する一考察―残余財産分配に類似する株式譲渡の否認と追徴」税大論叢31号P.183
末崎衛「『私法上の法律構成による否認』についての一考察」『税法学』550号P.13
谷口勢津夫「私法過程における租税回避否認の判断構造」『租税法研究』(2004年5月)

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自己紹介:
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記事内容は随時加筆・訂正しますので、投稿日はあてになりません。

まだまだ勉強中の身で、自分の主張も180度変えたりします。ご批判をいただければ幸いです。
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