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元院生が研究過程で収集した資料の貯金箱。
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居住の用に供していた宅地を土地区画整理事業のために立ち退き、更地になっている間に相続が発生した。この土地に小規模宅地の評価減を適用できるとされた事例。(納税者勝訴)



(概要)

平成9年3月18日、被相続人B及び相続人Xの居住する土地(以下「本件土地」という)が仮換地指定された。

平成9年6月4日、物件移転等補償契約を締結し、同年末までに立ち退くこととした。

平成9年11月18日頃、仮設住宅等使用願の提出に伴い、仮設住宅に転居した。

平成9年12月18日頃、本件土地の上の居宅が取り壊され、更地となった。

平成10年10月18日、被相続人Bが死亡。本件土地はXが相続した。

平成11年8月11日、本件土地に特定居住用宅地等の特例を適用して相続税申告書を提出。

平成12年4月1日から本件土地の仮換地(以下、「本件仮換地」という。)を使用できることとなった。

平成12年5月21日、建築請負業者との間で、建物を新築するための工事請負契約を締結。

平成12年6月30日付けで、税務署は更正決定をした。

平成13年3月20日、本件土地上に建物を建築し、同月27日に入居した。

(税務署の主張)

「相続開始の直前において本件土地及び本件仮換地が更地の状態であったことは明らかであって、いずれの土地についても居住用建物の敷地としての使用が外形的に認められないから、これを居住用宅地等として扱うことはできず、本件特例の適用は認められない。」

(判決)

「公共事業における仮換地指定により両土地の使用収益が共に禁止された結果、やむを得ずそのような状況に立たされたためであるから、…特段の事情のない限り、…『相続の開始の直前において…居住の用に供されていた宅地』に当たると解するのが相当である。」

(感想)

請負契約が賦課決定のわずか1ヶ月前なので、税務調査がいつ入ったかが気になるところではありますが、仮設住宅に居住していたところから、当初から改めてその土地に居住する予定でいたと推定できるので、この判決は妥当なものであると言えると思います。

ただ、租税回避行為について「課税減免規定の立法趣旨による限定解釈」という否認の類型が存在するとすれば、この事件は、「課税減免規定の立法趣旨による拡大解釈」と言えるかも知れません。

この点について、高裁がどのような判決を下していたのか、現時点では判りませんが、「法律をどのように解釈をしても、居住の用に供していた土地には該当しないから、適用できない」といったものだったのでしょう。

ところで、この事件において、もし仮設住宅でなく、他に所有していた建物に居住した場合にも、同じ判決になったでしょうか?

例えば、立ち退きに際して、別の土地に新たに新築して入居した場合は当然適用はないでしょう。

では、元からある賃貸マンションに自ら居住していた場合は?

(資料)

租税特別措置法第69条の4第1項(平成11年法律第9号による改正前は措置法第69条の3第1項)

第一審 ?

控訴審 平成16(行コ)7 平成16年11月26日 福岡高裁 (納税者敗訴)

上告審 平成17(行ヒ)91 平成19年1月23日 最高裁第三小法廷 (納税者勝訴

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