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元院生が研究過程で収集した資料の貯金箱。
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開業している弁護士が、自ら営んでいる弁護士業務に関する個人の知識を深めるために、大学院の博士課程を受講した際の授業料は、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入できるか。

裁決事例集No.66・120ページ

弁護士業を営む請求人は、大学院の修士及び博士課程の授業料等(以下「本件授業料等」という。)並びに大学への寄付金(以下「本件寄付金」という。)は業務遂行上必要な支出であるから事業所得の金額の計算上必要経費に算入される旨主張する。しかしながら、修士及び博士課程の専攻は、請求人の営む弁護士業と関連性を有していることは認められるものの、むしろ請求人の自己研鑚のため進学したものと認めるのが相当で、また、本件寄付金の支出は、請求人の善意的心情からのものと認められ、いずれも業務遂行上直接かつ通常必要なものとは認められず、事業所得を生ずべき業務について生じた費用ではないから、所得税法第37条第1項に規定する必要経費とすることはできない。(平15.10.27東裁(所)平15-88)

(コメント)
開業弁護士先生が、弁護士資格取得後も法について深く研究するために大学院を受講される姿勢には、頭が下がります。他にも、各地で講演活動をなされている有名税理士で、60歳を過ぎてから自らの知識を深めるために大学院を受講されている先生を実際に存じ上げております。私が依頼主なら、このように常に研究を怠らない先生に依頼したいと思います。

ところが裁決は、事業との関連性はあるものの、業務遂行上"直接かつ通常"必要なものとは認められないから、必要経費とは認められない、との判断を下しています。

では必要経費とは何でしょう?法人も個人も、「必要経費」の概念は同様であるべきでしょうが、
下に挙げる例のうち、どれが"直接かつ通常"必要なものとして費用になりうるでしょう?
(必要経費とならない場合、個人事業主なら経費除外。法人なら必要経費とはされるものの、利益を受けた者の賞与か、交際費・寄付金等となり、損金算入が限定ないし否定される。)

医者が参加する医学会研修費用
税理士がITコーディネーター資格を取得するための受講費用
公認会計士がMBA資格を取得するための留学費用
レストラン経営者がMBA資格を取得するための留学費用
自衛隊員が職務中に取得する大型特殊免許の取得費
都内一等地にある公務員社宅の維持費
大阪府職員に支給されるスーツ代
税務署に設置してあるトイレの乾燥機能付ウォシュレットや冷水サーバー
社会保険事務所が職員用に設置したマッサージ・チェア
都知事が息子に作らせたステンドグラス代
市役所の前にある巨大なモニュメント
国会議員が毎日飲む1本5000円のミネラルウォーター


ちなみに経済産業省による「人材投資促進税制Q&A集」によれば、ロースクールの授業料はこの特例の対象になるようです(但し、給与と認定されるものを除く)。
ということは、給与認定されない、つまり費用になるロースクールの授業料があるということになるのですが、この規定とどのように関連付ければよいのでしょうか?

(参考資料)

鈴木修三「業務上直接必要な技術の習得・研修費用の範囲」税理2005年5月号
「 法人の業務上直接必要な技術の習得・研修に要する費用が、「研修費」や「教育訓練費」等として損金算入されることは異論のないところであろう。
しかしながら、この「研修費」や「教育訓練費」等の取扱いについて掘り下げた議論をするとかなり厄介な問題に突き当たる。
というのは法人税法において、従来、これらの範囲について明確に定めた規定はなく、ただ単に法人の行う業務との関連性においてのみ、その経費性を問うだけであったからである。


崎山強「事業主の自己啓発のために支出する費用の業務関連性」税理2005年5月号
崎山先生は、この費用は繰延資産になるのではないかとの示唆をしておられる。非常に参考になる。

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元大学院生
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資産税が中心になると思います。

記事内容は随時加筆・訂正しますので、投稿日はあてになりません。

まだまだ勉強中の身で、自分の主張も180度変えたりします。ご批判をいただければ幸いです。
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