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元院生が研究過程で収集した資料の貯金箱。
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(たぶんこんな感じだと思うんですが、違っていたらご指摘よろしくお願いします。)

例:旧大和(りそな)事件

クック諸島にあるA社は、その関係会社でやはりクック諸島にあるB社に、年利11%でお金を貸そうとしました。(話を簡単にするために、利率や期間は変えています。)

B社への貸付金に対して、A社は利息を受け取る訳ですが、クック諸島では、その受取利息に15%の源泉税がかかってしまいます。A社は、関係会社同士の金銭のやりとりで15%の源泉税がかかってしまうのが嫌でたまりません。

そこで両者は、日本の銀行とシンガポールを利用するすごいアイデアを思いつきました。キーとなるのは、(1) シンガポールの預金利息には源泉税がかからないこと、(2)日本の外国税額控除制度にセキュリティホールがあること、の2点です。

事件を理解するにつれ、この2点を組み合わせることを最初に思いついた人が、いかにすごいかってことを感じざるを得ません。

A社は、さっそく旧大和銀行シンガポール支店(以下、X行)に行きました。

A「ねぇねぇ、A社がおたくの銀行に預金するからさぁ、その預金を担保にしてA社にお金貸してくれない?」

X行「でも、源泉税を15%も差し引かれるなら、当行の貸付利率をそれだけ上乗せしないと、当行が損するじゃありませんか。」

A「いやいや、日本には外国税額控除制度があって、負担した税金はちゃんと戻ってくるんですよ。」

預金利率を10%、貸付利率を11%とすると、貸付利息に15%もの源泉税がとられるならば、税引き後の利率は11%×(1-15%)=9.35%となり、0.65%だけ損が出ます。でもその源泉税が還付されるなら、1%のサヤが抜けます。X行は、預金を担保にするので、要は右から左へお金を移動させるだけで1%もらえるわけです。おいしい話です。

そこで、クック諸島のA社はX行のシンガポール支店に5000万ドルを預金し、同時にシンガポール支店は、B社に5000万ドルを貸し付けました。

1年後(期間は変えています)、クック諸島のA社は、5000万ドルの預金利息として、10%の500万ドルを受け取りました。シンガポールには源泉税がとられないので全額受け取ることができます。B社に直接貸し付けていれば 5000万ドル×11%×(1-15%)=4,675,000ドル しか受け取れなかった訳ですから、差引325,000ドルのお得です。一方、クック諸島のB社は、A社に払うべき11%の利息を、X行に支払っただけですから、損得はありません。

かわって、X行では、預金利息500万ドルをA社に支払う一方、B社からの利息4,675,000ドルを受け取りました。このままでは325,000ドルの損失です。そこで、税務申告書において外国税額控除制度を適用して、クック諸島政府に支払った源泉税 5000万ドル×11%×15%=825,000ドル 分だけ、法人税を少なく支払いました。結果として、825,000-325,000=50万ドル、つまり貸金5000万ドルの1%の儲けを出したことになります。

さて、ここで問題です。

A社とB社が直接取引をした場合と比較して、A社は325,000ドル得しました。B社は損得なしです。X行は50万ドル儲けました。(現実には、利率を調整して、三社がそれぞれ儲かるようになっています。)

このようにみんなが「よかったね」と言いそうな取引、それではいったいどこが問題なのでしょうか?

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この記事はこちらに移転済。

(概要)

 

個人Aは、昭和33年11月27日に鶴屋百貨店に土地を30,552,000円で売却し、所有権移転登記をした後、翌28日に死亡した。

Aの相続人は、売買契約の当日受け取った代金は手付金100万円に過ぎず、残額は月々50万円の延払契約であるため、割賦販売基準を採用すべきとして裁判に及んだ。

裁判所データのうち、租税判例でもっとも古いものを挙げてみた。

酒税法違反事件 昭和23(れ)248 昭和23年7月14日 最高裁大法廷 民集2巻6号895頁

これは租税判例とはちょっと違いますか。。。

これより古いものはあるのでしょうか?見つけたらどなたか教えてください。

譲渡所得額認定取消請求事件 昭和35(オ)437 昭和36年10月13日 最高裁第二小法廷判決 民集第15巻9号2332頁 原審:東京高裁

裁判要旨:

所得税法第9条第1項第8号にいう収入金額とは、譲渡資産の客観的な価額を指すものではなく、現実の収入金額を指すものと解すべきである。

譲渡資産上の抵当権を抹消するため、第三者の債務を弁済しても、その費用は、所得税法第11条の4の雑損にあたらない。

譲渡資産上の抵当権を抹消するため、第三者の債務を弁済しても、その費用は所得税法第9条第1項第8号の経費にあたらない。

(概要)

平成13年6月21日 :被相続人は、自己が所有していたX社の株式(代表者は長男A)13,040株を、従業員甲に対し、額面(配当還元価額と思われる)で譲渡する売買契約を締結した。

また、同日、被相続人、従業員甲及びX社との間で、甲による本件株式は、従業員持株会又はX社以外には譲渡しない旨の覚書が締結された。

平成14年7月27日 :被相続人の死亡により相続開始。

平成15年2月17日 :従業員甲は、相続開始後に新たに設立された従業員持株会に対し、額面(取得価額と同額)で予定通り譲渡した。

平成15年5月26日 :相続人(長男A)らは、甲に譲渡した株式13,040株を相続財産に含めないで相続税の申告をした。

平成17年5月12日 :原処分庁は、被相続人と従業員甲との間の売買を仮装行為であると認定し、その株式13,040株を相続財産に加えて相続税の更正処分を行うとともに、本件売買契約等が「仮装」であるからという理由で、重加算税の賦課決定を行った。

① 仮装・隠蔽行為

② 同族会社等の行為計算の否認(組織再編・連結法人を含む)

③ 私法上の法律構成による否認

④ 課税減免規定の限定解釈による否認

⑤ 立法趣旨による租税法規の不適用(?)


「通謀」「虚偽表示」「契約当事者の真意」「真実の法律関係」を課税庁が立証しなければならない。

(概要)(例:コンパック事件)

1992年、コンパック社は、投資会社・21st社の租税裁定取引に応じ、大量のオランダ・ロイヤルダッチ社のADR株を配当落ち前(cum dividend)に$887,557,129で購入し、配当落ち直後(ex dividend)に$868,412,129で転売した(配当落ち後の価格であるため、取引費用も含めると、売却損$20,652,816が生じた)。14:58に購入してから16:00に売却するまで、その時間はわずか1時間2分であった。

コンパック社は、配当落ちのその瞬間、オランダ・ロイヤルダッチ社ADR株1000万株の株主であったため、$22,545,800の配当を受けることとなった。オランダ政府の源泉税15%($3,381,870)控除後の配当($19,163,930)を受け取った。

コンパック社は、取引費用も含め$20,652,816の譲渡損失と$22,545,800の配当所得を計上し、また、$3,382,050の外国税額控除を申告した。

源泉税を控除されているため、取引費用を加えると損失となる。が、コンパック社は、米国政府から外国税額控除を受けることでトータルでは利益を出すことができた。

(問題点)

この一連のコンパック社の取引によって、オランダ源泉税を米国政府が負担した結果となっている。このような場合、コンパック社は外国税額控除が認められるだろうか。これは経済的実質を伴った取引と言えるか。



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プロフィール
HN:
Coolhage
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非公開
職業:
元大学院生
自己紹介:
資産税が中心になると思います。

記事内容は随時加筆・訂正しますので、投稿日はあてになりません。

まだまだ勉強中の身で、自分の主張も180度変えたりします。ご批判をいただければ幸いです。
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